写真館のためのIT豆知識 - 第3回「ストレージの選び方 - Droboを導入してみよう!」

第3回「ストレージの選び方 - Droboを導入してみよう!」

2011/09/01
千葉 豊 (株式会社エグゼック)

はじめに

こんにちは。株式会社エグゼック 技術担当の千葉です。

「写真館のためのIT豆知識」第3回は「ストレージの選び方」の実践編として、最近話題のストレージ「Drobo (読み方:ドロボ ※注)」の導入・設定手順をご紹介していきたいと思います。

※注: 少し前まで日本では一般的に「ディーロボ」と発音していたのですが、最近は国際標準の読み方に合わせて「ドロボ」と発音するようです。ザ・写真館の記事上では、読み方「ディーロボ」となっていますが、本記事では標準の読み方「ドロボ」を採用しました。

Droboは、Data Robotics 社から発売されている、独自のRAIDシステム「BeyondRaid」を採用した外付けのストレージボックスです。

これまでのRAIDでは、RAID構築に使用するハードディスクの種類や容量を同じにする必要がありました。

この制約によって、例えば数年経ってハードディスクが故障し、いざ交換が必要になった時に、もうそのメーカーのその容量のハードディスクが売られておらず、RAIDのリビルドができない、というリスクがあり、RAID構築時に予備のハードディスクを何本か購入しておくなどの対策が必要でした。

また、同時期に製造されたハードディスクを使用するので、ハードディスクが故障するタイミングも似たような時期になりやすいようです。

RAID内の一台のハードディスクが故障して、それを復旧すべくリビルドをかけている最中に、別の一台が故障してデータの復旧が困難になったという話もよく耳にします。

Drobo はこのRAIDの制約を克服したことで話題になっています。DroboでRAIDを構築する場合、利用するハードディスクの種類や容量にほとんど制約がなく、RAID構築後もハードディスクを増設して容量を増やしたり、利用中のハードディスクを交換するといったことが、RAIDの知識がなくても簡単にできるようになっているそうです。その性能はいかに!?

ではいよいよDroboを導入していきましょう。

Droboをセットアップする

今回の記事を書くにあたって、Droboシリーズの中から、NASに該当する Drobo FS という製品を注文しました。


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まずは届いた荷物をオープン。

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今回はDrobo本体と、検証のためにメーカー・容量の異なるHDDを3台購入しました。

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早速Drobo本体を開封します。

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「Welcome to the World of ...」

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「drobo」

Drobo の世界へようこそ。楽しい梱包ですね。わくわくしてきました。

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中身を全て出して並べてみました。部品は少ないですね。

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正面やや上から。

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裏面。

電源コードの挿口が1つ、LANケーブルの挿口が1つ、電源ボタンが1つ。シンプルですね。

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側面。大きさがわかりやすいように携帯電話を置いてみました。

Drobo FSの本体を計ってみたところ、幅 約15cm × 高さ 約18cm × 奥行 約27cm でした。

HDDを5台入れられてこの大きさは十分にコンパクトだと思います。

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Droboを起動する前に、まずは、Droboを管理するソフト(Drobo Dashboard)をインストールします。

付属のCDからインストール。Windows でも Macでも利用できるようです。

今回は Windows 7 の入った PCにインストールします。

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インストールボタンを「ぽちっ」。

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接続準備が完了しました。

画面をこの状態にしたまま、今度はDrobo本体にHDDをセットしていきます。

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表のカバーはどうすれば外れるのかな・・・

「パカッ」

カバーの下あたりを手前に引いたら、簡単に外れました。

表カバーは磁石で本体にくっついているんですね。

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続いてHDDを開封します。

まずは日立社製の2TBのディスクから。

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新品のHDDです。

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HDDそのものを見ることは普段ほとんどないと思うので、反対側もご覧下さい。

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HDD裏側のコネクタの位置を確認。

写真左下の青い部分が、HDDを正面から見たときに右下にくるようにセットします。

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ストッパーが「かちっ」と言うまで押し込みます。

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セット完了。

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続いて2台目のHDDを開封しましょう。

シーゲイト社製の1TBのHDDです。

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これもHDD裏側のコネクタの位置を確認して・・・、

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ストッパーが「かちっ」と言うまで押し込みます。

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セット完了。

しかし、メーカーも容量も違うHDDで、本当にRAIDとして機能するのでしょうか。。

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続いて3台目のHDD。

シーゲイト社製500GBのHDDです。

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3台目ともなると手慣れたものです。

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これでメーカー・容量の異なる3台のHDDのセットが完了しました。

上から、

1. 日立社製 2TB
2. シーゲイト社製 1TB
3. シーゲイト社製 500GB

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電源とLANケーブルを接続したら、

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いよいよ電源ON!

「ポチッ」

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おおっ!?

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おおおっ!

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しばらくすると、ランプはすべて緑に。

Droboは、このランプの色や点灯の仕方でHDDの状態がわかるようになっています。

緑のランプということは、HDDは3台とも正常に読み込まれました。

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PCのモニターに目をやると、画面が変わり、ストレージの容量が表示されています。

無事にPCからDroboにアクセスできました!

(※ PCからDroboが見つからない場合、ネットワークの設定でDHCPが有効になっていない可能性があります。その場合は、PCとDroboを直接LANケーブルで接続して設定を行ってみてください)

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しかし、よく見るとストレージの空き容量が 1.33TB になっています。

今回用意したHDDの容量を全部足すと

2TB + 1TB + 500GB(0.5TB) = 3.5TB

なので、全容量の半分以上が使用できない計算になりますね・・・


実は、Drobo のストレージ容量はおよそ、

「全HDDを足し合わせた容量」から「全HDDのうち一番容量の多いHDDの容量」を引いた容量

になります。


今回の場合だと、

(2TB + 1TB + 500GB) - 2TB = 1.5TB

になります。

(※1.5TBと1.33TBではまだ誤差がありますが、これはHDDメーカーの容量の計算方式と、WindowsなどのOSの容量の計算方式が異なるために発生するもので、Droboに特有のものではありません)


ですので、実際に利用する場合は、すべてのHDDの容量を揃えた方が、容量を有効に活用することができます。

例えば、1TBのディスクを3台使用する場合、

(1TB + 1TB + 1TB) - 1TB = 2TB

になります。


ちなみにDrobo FSが認識できる1台のHDDの最大容量は3TBで、HDDは5台までセットできるので、使用できる最大の容量は、

(3TB + 3TB + 3TB + 3TB + 3TB) - 3TB = 12TB

になります。


既存のHDDを利用する場合は別ですが、新たにHDDを購入される際は、この辺を考慮の上、HDDを購入されることをオススメします。

管理用ソフト からDroboを設定する

続いて管理用ソフト(Drobo Dashboard)を使用して、Droboの設定をしていきます。


1. 管理者情報の設定

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管理者情報の設定をしておきましょう。

メイン画面の「高度な制御」→ 「管理」タブを開き、ユーザー名とパスワードを設定します。

2. アラートメールの設定(オプション)

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緊急時にアラートのメールが来るように、設定をしておきましょう。この設定は必須ではありません。

メイン画面の「高度な制御」→ 「アラート」タブを開き、設定をします。

※言語で「日本語」を選択した場合、メールソフトによっては文字化けが発生しました。文字化けする場合は、UTF-8対応のメールソフトを使用するか「English」を選択して英文メールを送信するようにしてください。

以上で設定は完了です。簡単ですね。

PCからDroboにアクセスする

それではいよいよPCからDroboにアクセスしてみましょう。


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エクスプローラを開き、アドレス入力欄に「\\Drobo-FS」と入力してEnterキーを押します。

すると「Public」というフォルダが表示されます。

初期設定ではこのPublicフォルダの中にデータをアップロードすることが可能です。

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「Public」フォルダの中身です。

ここに何かデータをコピーしてみましょう。

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試しにPCのCドライブにあった「photos」フォルダをコピーしてみました。

コピーしたフォルダの内容にPCからアクセスできることも確認します。

社内の別のPCからも同じようにDroboにアクセスできることを確認したらセットアップは完了です。


まとめ

実際に導入から設定まで迷うことなく完了し、とにかく簡単だという印象を受けました。今回も記事を書くための作業を除けば、30分程度の作業時間だったと思います。

今回あえて、メーカー・容量の異なるHDDを使用してみましたが、問題なく認識することも確認できました (ただし、Western Digital社製のHDDと相性が良くない、という情報があるので、実際に購入される際は、事前に確認されるのが良いと思います)。

難しい設定なしで、別途サーバを用意する必要もなく社内の複数のPCから写真データを共有することができ、容量の拡張も簡単。

大量の写真データを取り扱う写真館様にとっては、NASの導入を検討される際の、一つの大きな選択肢になるのではないかと思います。

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