写真館のためのIT豆知識 - 第4回「ストレージの選び方

こんにちは。株式会社エグゼック技術担当の千葉です。

「写真館のためのIT豆知識」第4回は、最近話題の「オンラインストレージ」を取り上げます。

オンラインストレージは、写真などのデジタルデータを、インターネットの先にある業者のストレージに保管できるサービスのことで、インターネット環境とパソコンさえあれば、「いつでも」「どこでも」写真データにアクセスできる点が一番の魅力です。

特にサーバーやネットワークの難しい設定をしなくても、写真データの共有が簡単に実現できるため、社内はもちろんですが、支店・客先・自宅など、社外からも簡単に写真データにアクセスすることができます。

オンラインストレージサービスは数年前から登場し始め、最近ではさまざまな特徴を持ったサービスがたくさん出てきています。出始めの頃は容量の少ないサービスしかありませんでしたが、500GB、1TBといった大容量のサービスも (まだまだ高額ではありますが) 今では見かけるようになってきました。また、専用のソフトを利用したファイル同期・バックアップシステムなどの便利な機能を売りにしたサービスもあります。

そんなオンラインストレージサービスですが、選ぶ際には気をつけなくてはならない点もあります。

例えば、一見すると大容量で低価格ですが、実はアップロードしたファイルの保存期間が7日間しかない (7日後に自動的に削除されてしまう) ですとか、データのやり取りに暗号化通信(SSL)を利用していないために、第三者によってデータが盗み見られてしまう可能性がある、セキュリティに不安のあるサービスも存在します。

以下では、いくつかのオンラインストレージサービスを取り上げ、その特徴についてご説明していきます。

まずはオンラインストレージのメリット・デメリットについて確認しておきましょう。

○ オンラインストレージのメリット

設定は簡単。専用ソフトウェアのインストール程度。
複数PCでの写真の共有が簡単。インターネットにつながっていれば、どこからでも写真を参照可能。
ハードウェアを自身で管理する必要がないので安心。
容量の増設が簡単。
設置スペースを新たに必要としない。

× オンラインストレージのデメリット

オンライン環境がなければ使えない。
年または月単位でランニングコストがかかる。大容量の場合、非常に高額。
転送速度が非常に遅い。高スペックのパソコンが必要。
専用ソフトウェアの使い方に慣れる必要がある。

Dropbox (ドロップボックス)

http://www.dropbox.com/

Dropbox は最も有名で人気のあるサービスの一つです。すでに使われている方もいらっしゃるでしょう。

パソコン上にある「Dropbox」フォルダにファイルを保存するだけで、オンラインストレージと自動的に同期することができます。自宅、会社、外出先のノートパソコンなど、どの環境でも、専用のソフトウェアさえインストールしておけば、同期後の最新のファイルにアクセスできます。

また、更新履歴を管理する機能により、間違って削除や上書きをしてしまっても、前のファイルを呼び出すことができるのも魅力です。

Windows、Mac OS X 向けの専用アプリケーションも用意されていて、iPhoneからもアクセスが可能など、OSを問わずに使うことができます。

料金は、

容量	金額
2GB	無料
50GB	月額 US$9.99
100GB	月額 US$19.99

となっています(2011/11/01 当社調べ)。

Yahoo!ボックス

http://box.yahoo.co.jp/

2011年の10月から始まった新サービスです。

Webブラウザを利用したファイルのアップロード・ダウンロードの他、専用のソフトウェア(Windowsのみ)をインストールすることで、Dropboxと同様に、パソコン上にある「Yahoo!ボックスフォルダー」にファイルを保存するだけで、オンラインストレージと自動的に同期することができます。

このサービスが気になるのは、Yahoo!プレミアム会員なら、月300円(※ただし、Yahoo!プレミアム会員費（月額346円/税込）が別途必要)で、1,000GBのストレージ容量を提供する！、というプランの予告をしているところでしょう。プランが開始されたらぜひ利用してみたいサービスです。

また、国産のオンラインストレージサービスなので、サポートを含めて安心感があるのがいいですね。

料金は、

会員種別	容量	金額
Yahoo! 無料会員	5GB	無料
Yahoo! プレミアム会員	50GB	無料
Yahoo! プレミアム会員	1,000GB	月額 300円

となっています(2011/11/01 当社調べ)。

Mcafee Online Backup (マカフィーオンラインバックアップ)

http://www.mcafee.com/japan/home/pd/Online_backup/default.asp

上記2サービスとは異なり、バックアップを主目的としたオンラインストレージサービスです。このサービスの一番目を引くところは、なんといってもストレージ容量が無制限というところでしょう。

やはり専用のソフトウェアをインストールして使用します。バックアップ対象を一度設定すると、その後は新規ファイルや変更済みファイルなど特に意識しなくても、検出して自動的にバックアップしてくれます。

またバックアップしたファイルは暗号化されて保存されるので、セキュリティ面でも安心できます。

料金は、PC1台が年間で7,980円となっています(2011/11/01 当社調べ)。

USEN Business OffiSuite 「ネットストレージ」

http://www.gate02.ne.jp/service/offisuite-storage/

株式会社USENが提供する法人向けのオンラインストレージサービスです。

大容量が特徴で1TBから最大10TBまでの容量を提供しています。

セキュリティの高い接続方式を、自社のネットワークに合った形で選択できるなどの特徴があります。法人向けの国内サービスなので、サポート、セキュリティ、転送速度などの安心感があるのも魅力的です。

料金は、1TBの容量で月額63,000円〜となっています(2011/11/01 当社調べ)。

ちょっとしたファイルなどをやりとりするには、大変便利なオンラインストレージサービスではありますが、ご覧頂いた通り、TBクラスの大容量のオンラインストレージサービスはまだまだ高額ですし、当然ですが社内に置いているストレージに比べると、転送速度も満足行くものではありません。

写真館様が社内で保管されている膨大な数の写真を、今すぐ全てオンラインストレージに移行するのは、まだ現実的ではないのかな、と思います。

それでも近い将来、容量や転送速度の質が向上し、写真保管ストレージの選択肢の主要な一つになることは間違いありません。オンラインストレージサービスは、今後ますます目の離せないサービスと言えるでしょう。

今回ご紹介した以外にも、本当にたくさんのオンラインストレージサービスが乱立しています。ぜひ検索して、ご自身に合ったオンラインストレージサービスを探してみてください。

第4回「ストレージの選び方 - オンラインストレージ」

はじめに