写真館のためのIT豆知識 - 第6回「ストレージの選び方 - まとめ」

第6回「ストレージの選び方 - まとめ」

2012/03/01
千葉 豊 (株式会社エグゼック)

はじめに

こんにちは。株式会社エグゼック 技術担当の千葉です。

早いもので「写真館のためのIT豆知識」もいよいよこの第6回で最終回を迎えました。この1年の間には「エグゼックさんらしくて良い広告だよね」などのお声も頂いて大変うれしかったです。

私個人的には、日々のプログラミングの合間に、この原稿を書くのが楽しく、良い息抜きになりましたし(笑)、私自身とても勉強になりました。

読んでいただいた写真館の皆様ありがとうございます。

実は連載当初は、いくつかのジャンルのITネタを取り上げよう、と考えていたのですが、USBの外付けハードディスクからオンラインストレージまで、ストレージについてあれこれと書いているうちに、結局は最初から最後までストレージの話になってしまいました。「IT豆知識」というより「ストレージ豆知識」とした方が良かったかもしれません(笑)。

まだまだ書きたいことがあるくらいなのですから、それだけストレージは幅が広く、奥の深い分野なのかもしれませんね。ネットワークやセキュリティ関連の話、ExcelやAccess のちょっと役に立つテクニック、当社のインターネット販売システム フォトストアの便利な機能など、写真館様に有益なストレージ以外のITネタも、いずれまた別の機会を頂ければ、ぜひとも取り上げたいなと思っています。

そんなわけで、最終回の今回は「ストレージの選び方 - まとめ」と題して、これまでに取り上げたさまざまなストレージの特徴についておさらいして行きたいと思います。その際、各ストレージの特徴を踏まえて、写真館様の用途・規模などシーン毎に最適なストレージをご提案していくことにしましょう。

各ストレージの特徴

1. 外付けハードディスク

外付けハードディスクは、この連載の第1回で取り上げました。そのメリットとデメリットをあらためて確認しておきましょう。

○ 外付けハードディスクのメリット

  • 設定が簡単。
  • 価格が手頃。
  • 転送速度が速い。

× 外付けハードディスクのデメリット

  • 複数パソコンからの写真の共有が面倒。
  • HDDを追加して容量を増設することが難しい。
  • 設置スペースが新たに必要となる。

とにかく設定が簡単で、値段が手ごろなのが一番の魅力でした。お手軽ではありますが、この連載の第2回で取り上げたRAID機能を搭載したモデルならば、ハードディスク障害による写真データ障害のリスクも軽減でき、写真データ保存の信頼性も高くなります。


こんな写真館様にオススメ!

1. 写真データを1台のPCで管理している写真館様に特にオススメです。特別な設定はいらず、USBを挿すだけで簡単に容量を拡張でき、転送速度も速く快適です。

2. 複数台のPCを利用している写真館様で、写真データの保存にNASやファイルサーバを利用している場合、写真データのバックアップ用途として使うのもオススメです。

2. パソコン内蔵ハードディスク

パソコン内蔵ハードディスクも、この連載の第1回で取り上げました。そのメリットとデメリットをあらためて確認しておきましょう。

○ パソコン内蔵ハードディスクのメリット

  • 価格が安い。
  • 転送速度が非常に速い。
  • 設置スペースを新たに必要としない。

× パソコン内蔵ハードディスクのデメリット

  • 設定が難しい。パソコンの知識が必要。
  • 複数パソコンからの写真の共有が面倒。
  • 増設できるHDDの数に制限がある。

安価に大容量のハードディスクを増設できるのが魅力でした。一方でパソコンのハードウェアの知識が必要になるため、ハードルが高い方法でもあります。


こんな写真館様にオススメ!

1. パソコンの知識がある写真館様で、ハイスペックのメインPCで写真データを管理している方にオススメです。

3. NAS

NASは、この連載の第3回で、Drobo FS を取り上げ、実際にセットアップまで行いました。そのメリットとデメリットをあらためて確認しておきましょう。

○ NASのメリット

  • 複数パソコンからの写真の共有が簡単。
  • 高価な機種では、HDDを追加して容量を後から拡張できるものがある。

× NASのデメリット

  • 安価なものから高価なものまで幅があり、機種の選択が難しい。
  • 設定が難しい。ネットワークの知識が必要。
  • 転送速度が遅い。
  • 設置スペースが新たに必要となる。

複数のパソコンから写真データを共有できるのが魅力でした。また、設定が難しいというデメリットについても、最近のNASは設定が簡単になってきています。ルータの扱いなど、多少ネットワークの知識はあった方が良いですが、外付けHDDと変わらないくらいの手軽さで導入できるモデルも出てきました。、Drobo FSの設定も簡単でしたよね。

外付けHDDこの連載の第2回で取り上げたRAID機能を搭載したモデルなら、データ保護の信頼性も高いです。


こんな写真館様にオススメ!

1. 写真データを複数台のPCから管理したい写真館様に特にオススメです。

2. 写真データの保存にファイルサーバを利用している場合で、古くなったファイルサーバの代替としてNASを導入するのも、管理が楽になりオススメです。

4. オンラインストレージ

オンラインストレージは、この連載の第5回で、Yahoo!ボックス を取り上げ、実際にセットアップしました。そのメリットとデメリットをあらためて確認しておきましょう。

○ オンラインストレージのメリット

  • 設定は簡単。専用ソフトウェアのインストール程度。
  • 複数PCでの写真の共有が簡単。インターネットにつながっていれば、どこからでも写真を参照可能。
  • ハードウェアを自身で管理する必要がないので安心。
  • 容量の増設が簡単。
  • 設置スペースを新たに必要としない。

× オンラインストレージのデメリット

  • オンライン環境がなければ使えない。
  • 年または月単位でランニングコストがかかる。大容量の場合、非常に高額。
  • 転送速度が非常に遅い。高スペックのパソコンが必要。
  • 専用ソフトウェアの使い方に慣れる必要がある。

ストレージを社内に用意せずに、簡単に共有ができる点が魅力でした。一方で、まだまだ発展途上のサービスであり、大量の写真データを低コストで安全に扱うには、ハードルが高いと言えるでしょう。これからのサービスの向上に期待です。


こんな写真館様にオススメ!

1. 複数拠点のPCから写真データを管理したい写真館様に特にオススメです。

2. 自拠点以外に写真データをバックアップしたい写真館様にオススメです。

最後に

あらためまして、1年間ありがとうございました。この連載が、写真館の皆様のストレージ選びの一助になれば幸いです。

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